音楽史のスタート

ソルフェージュクラスでは、ちょっとした音楽歴史を述べる所からスタートします。
生徒は楽しんで受講してくれるので、皆さんにも、このブログで少しづつ紹介してみようと思います。
『リュリ(1632-1687)指揮棒で死んでしまった人』
バッハより50年以上前に生まれたリュリの話です。
イタリア生まれのリュリは粉屋の息子で、音楽はギターと音楽理論の基礎を習った程度でした。
10代の始めにフランスへ連れて来られ、フランス人に帰化します。30歳の頃に、フランス古典劇の代表者の1人であるモリエール(1622-1673)と知り合い、2人でおびただしい数のオペラを作り、ヨーロッパのオペラ界に大きな影響を与えた人となりました。自ら楽団の指揮をし、それをヨーロッパ随一の楽団に築き上げました。
当時の指揮棒は長い棒で、それで床を叩いて楽団にリズムを知らせていました。リュリの楽団に対する訓練は、すさまじい怒りを伴い、それが素晴らしい音楽作りとなっていきました。そんなある日、練習中に怒り狂ったリュリは、指揮棒を力任せに床に叩きつけたつもりが、誤って自分の足を突き刺してしまいました。この際の怪我が原因で、リュリは非業の死を遂げてしまいます。
リュリは、オーケストラのヴァイオリンの弓の上げ下げを統一し、演奏開始の時に全楽器がピタリと合うようにしました。(今では当然の事ですが、モーツアルトが22歳の時にリュリの技法を受け継いだオーケストラの演奏を聞き、「こんな事がありえましょうか!ヴァイオリンが同時に揃って演奏するなんて!」と驚いて父親に手紙を書き送っています。)400年近く前に、リュリは既にオーケストラの礎を築いた人なのです。

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